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12高知論叢第110号最終項はX 2に関して増加関数なのか?企業が2期目に多くのくじを配布すると,2期目にくじの当選者が現れる確率は上昇し,1期目にくじの当選者が現れる確率は低下する。つまり,企業が2期目に多くの財を供給し,くじを多く配布すると,これは当選者を1期目から2期目に移していることになり,「2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したもの」も大きくなる。・何故この「2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したもの」を表す最終項は2期目の最大化問題に現れたのか?2期目になり企業がいかに多くのくじを配布しようと,企業からみた景品戦略のコスト(=賞金総額)は1期目に既にアナウンスされているため不変であり,サンクコストであると言える。そのため,2期目には,企業は2期目に得られる景品戦略のベネフィットだけを考えればよい。2期目に得られる景品戦略のベネフィットとは「2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したもの」である7。まとめると,2期目になると企業は,2期目の消費者に多くのくじ引き券を配布することで2期目の消費者により多くの価値を提供でき,しかも2期目のくじの配布にはいかなるコストも掛からないため,より多くの利潤を得るのである。企業は景品戦略を1期目にアナウンスすることで,2期目にこのようなくじの配布すなわち供給拡大(価格の低下)をすることを示していることになるのである。さて,ここまでの議論により,現実に実施されている景品戦略を,動学的非整合性を解決するという意味で効果的な景品戦略と,解決しないと言う意味で効果的ではない景品戦略に分けることができる。以下の景品戦略は効果的だろ7何故なら「2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したもの」は消費者が得るものであると同時に,企業が売上を通じて回収できるものでもあるからである。