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16高知論叢第110号イヤーが集まる市場となった。しかも同市場周辺部と後背地の諸県には無数の加工工場が集積しており,2014年現在,雑貨市場だけをとっても取引総額2兆円を超える。人口5000万人余りの省人口の中で,義烏市の人口はわずか2パーセント程度であるが,市場取扱額総額は省内卸売額の30パーセントを占める。義烏市場の例は,商品市場が未発達の市場が短期間にグローバル市場へと発展した一つモデルを我々に示してくれている。世界一の雑貨市場となった義烏市場に関して,従来一部商社を介して(株)ダイソーなどへの輸入先として日本に知られているにすぎなかったが,日本向けの輸出はさほど多くなく,商圏は今や全世界に拡大している1。新興国における生産と消費の爆発的な拡大によって巨大商品市場が生まれる事が,義烏市場の例から確認できる。本稿は,このような義烏市場を事例にして,商品市場の存立要件を検討する事が課題である。1.商品市場の成立要因市場とは取引の場だけを指す場合と,抽象的な市場という二重の意味があるが無論それは関連している。一般に市場の機能は価格形成の場,リスク回避の場がその前提である。市場が物理的に存在していなくても買い手と売り手の相互作用も市場取引という場合がある。また,市場取引には現物取引と先物取引があり,現物取引には競売と入札・相対取引がある。ひとつの商品市場の周辺にはいくつかの階層の市場が存在する。1生産者の市場,2ブローカー市場,3卸売人市場,4バイヤー・小売市場である。以上の階層の中で最も重要であるものは生産である。生産に関する優位性が失われると当該市場の優位性も失われ,市場の存立基盤は喪失する。次いで重要な市1義烏市場を紹介したケーススタディは,陳雲「中国山間部地域の発展課題と経験―『内発的モデル』の義烏バージョン」『龍谷政策学論集第1巻第2号』2012年3月,伊藤亜聖「義烏のジレンマと発展のダイナミクス」三田学会雑誌103巻1号2010年,今井健一・丁可「中国の雑貨産業における高度化」『中国高度化の潮流-産業と企業の変革』調査研究報告書アジア経済研究所,2007 ?建?王欣「? ?指数与市?功能?新」『? ?中国小商品城?型升?研究』? ?管理出版社,胡国富『? ?科学?展之路』浙江人民出版社2008年などがある。