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20高知論叢第110号図表1商品別市場の特質雑貨衣類穀物原油生鮮食品木材金属供給側の独占・寡占×××○××○卸売業の独占・寡占××△○××○も抑制された。したがって,中国など旧社会主義圏の市場は初期的なものしか許されておらず,他のアジア諸国と比較しても大きな格差があった。1980年以降における中国で行われた実験は,党と政府の権威によって支えられた開発独裁型市場経済であった。そのような制度設計は今日まで矛盾を孕みながら成功してきたかのように見なされてきた。中国が改革開放政策を開始した1980年代,国務院の一行が,市場経済の設計をするヒントを得ようと高知県などを視察した。彼らが一番注目したものは,日本ではさほどの存在感がない土地開発公社であった。中国地方政府の土地再開発部局は日本の土地開発公社とは,結果として似て非なるものになった。すなわち,土地に関するすべての権限を有する地方政府が土地を転売する事によって得た資金によって大規模なインフラ投資を行うシステムであった。中国の地方政府は,土地取引によって得た資金力によって市場経済の循環をつくった。狭義の市場建設もその一つである。雑貨市場の優位性を決定する最も基本的な要素は,商品の競争力であり,それを決定するものは安価で優秀な労働力である。義烏市場の強みは,卓越した荷引力と荷捌き能力にある。換言すれば集荷・分荷力が極めて大きい事が同市場の競争力である。そのことが,20年間以上の間,市場取扱い額が右肩上がりに上昇した理由である。市場の競争力を構成するものは,1.商品生産の競争力(価格,品質,量,資本,労働力),2.取引の場としての市場自体の整備,3.買受人の分荷力である。集荷の中でも重要な要素は,競争力がある商品を安定的に市場に供給できるか否かである。しかも適正価格と品質,数量,品揃えが必要であるが,当該市場の強みは膨大な加工業者が周辺部に集積した事であった。市場経済を導入した中国では市場間競争を経て世界的市場が生まれた。その