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24高知論叢第110号図表4浙江省のフィリップス曲線インフレ率潜在的過剰人口を含む実線の失業者は登録失業者,浙江省賃金は暦年農村純収入推移『中国統計年鑑』より作成失業率先行研究では,中国の物価上昇と失業率にはほとんど関係がないと言われてきた。中国の失業率は,公式失業率だけでも90年代前半までは3%台の前半であったものが,後半から増加しはじめ,05年から09年まで4.0%~4.3%の間で推移している。したがって中国の公式の失業率は決して高くはない。公表統計の制限はあるが,試みにフィリップス曲線を実線で示した。図表4に示したように,中国のフィリップス曲線は,1990年代において,失業率の上昇と物価上昇は正の相関がある。2000年代に入ると失業率は低下するが,物価は上昇する。すなわち,公式統計から見たフィッリップス曲線は1990年代は右上がり,2000年代以降左上方であり,右下がりの通常の関係は観測されない。ただし統計上には表れない潜在的過剰人口を含む実際の失業率を考慮すると,フィリップス曲線は一貫して右肩上がりになると推定される。浙江省は義烏市場に代表されるような市場が存在するために農村工業が発展し,出稼ぎ工,農民工の雇用が他の省より多い。しかし,潜在的過剰人口を含めた実質的な失業率は2000年以降も増加しておりそれを点線で示した。充分な