ブックタイトル110号

ページ
37/126

このページは 110号 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

110号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

110号

商品市場に関する試論31義烏市場の生産拠点である松陽県政府の事例では,加工業就業者と経紀人に資金面の奨励金制度を実施している。県政府からの補助金対象になる者は農民の増収に貢献する加工団体や個人である。また,彼らが使用する加工工場家賃の奨励金もある。2013年において,松陽県政府から支払われた奨励制度は以下の通りである。加工業者への奨励金は手工業の場合,生産額に応じて0.5万元から2万元,機械工業の場合,1万元から3万元が支払われる。優秀加工者には500元が支払われ,その他,団体加工用場所,家賃の補助制度,加工場が標準化に達するまで2.5万元の助成制度がある。5.義烏市場と価格形成義烏雑貨市場に上場される商品の多くは比較的安価な必需品であるために,需要の価格弾力性は一般に非弾力的である。本来の商品の性格は,価格が多少変動しても価格の変化ほどに需要は変化しないものであり,供給量も然りである。ただし義烏雑貨市場が供給する雑貨の場合,低価格,高品質,品ぞろえ,供給量があるために極めて競争力がある。豊富な労働力と工場・設備が絶えず注入されてきた。そのために世界の雑貨市場の中において新たな市場を形成してきた。ただし今後もこの傾向が継続するかというと疑問である。例えば,1外延部の農村へと拡大した義烏市場の生産能力と資本の集積・人的物的能力が飽和状態になる・2義烏市場以上の競争力を持った市場ができる・3低賃金に依拠してきた周辺の賃金が上昇する・4市場への公的統制が厳しくなる・そのような事態が生ずれば義烏市場は普通の雑貨市場となり,供給の価格弾力性も変化する。図表8,9は初期義烏市場の価格形成モデルである。この価格と数量の関係から供給曲線の価格弾力性は大きいと推察される。生産余剰の中で,直接委託加工する労働者に支払われる加工賃はA’-D-P1にすぎない。その他の生産余剰は経紀人,市場管理者,輸送業者,村行政政府側にある。加工者へ支払われる価格は,最低賃金者が周辺の山村から流入し続けるためにほとんど上昇しない。