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110号

35論説ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性「Aktionprogramm Regionale Daseinsvorsorge」の検討を中心に霜田博史はじめに日本の過疎化・高齢化がすすんだ地域の生活支援を考える上で,参考になると思われる他国の事例の一つがドイツである。ドイツも1990年代後半以降,日本と同様に人口構成の少子化・高齢化がすすんでおり,とりわけ周辺・農村地域における急速な過疎化の進行が懸念されているが,日本ではその実態がほとんど紹介されることがない。そこで本稿では,ドイツの人口問題の現状と,ドイツ連邦政府の考えている対応策について検討し,日本との比較研究のための基礎的な整理を行うことを課題とする。ドイツの過疎化地域に対する政策の1つのキーワードになっているものに,「Daseinsvorsorge」という概念がある。日本では「生存配慮」と訳されることの多い言葉であるが,ドイツの人口減少地域における生活諸条件の整備に関する政策を進めるさいに,改めて注目が集まっている。本稿では,ドイツの人口構造の変化と連邦政府の人口問題対策を概観したうえで,「Daseinsvorsorge」という観点からの過疎地域における生活支援の取り組みについて,ヒアリング調査を元に事例検討を行う。事例については,ドイツ連邦交通・建設・都市開発省が進めているモデルプロジェクト「Aktionprogramm Regionale Daseinsvorsorge」を取り上げ,ドイツで進められようとしている過疎化地域の支援の課題と方向性について検討してみたい。高知論叢(社会科学)第110号2015年3月