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36高知論叢第110号1.ドイツにおける人口減少下の課題と政策的対応(1)ドイツにおける人口構成の高齢化・少子化の進行片木淳によると,ドイツでは2003年に人口が減少に転じており,2005年に約8,250万人あった人口は,2050年には7,400万人ないし6,900万人に減少すると予測されているということである1。人口構成の高齢化もすすんでおり,2005年末には人口の20%が20歳未満,19%が65歳以上であったが,2050年には人口の30%以上が65歳以上となり,20歳未満は約15%まで低下するということである。また,特に旧東ドイツ地域において,低い出生率に加えて,経済的変動と高失業率による旧西ドイツ地域への人口流出が影響して,人口の減少が著しいことが特徴として上げられている。片木氏が取り上げたドイツの人口の減少・人口構成の高齢化の傾向は,現在においても変わっていない。ドイツ経済諮問委員会の特別報告によると,人口の減少,高齢化が進んでいるのは,先進国ではドイツ,日本,イタリアに共通しているということである2。同報告によると,日本の人口減少は出生率の低さに規定されており,日本では女性にとって仕事と家庭のバランスが難しいこと,生活費,養育費,教育費の高さなどがその原因としてあげられている。イタリアについても日本と同様に女性にとって仕事と家庭のバランスが難しいことが指摘されており,特にパート労働に対する求人の少なさが,イタリアにおける女性の出生率にブレーキをかけることになっていることが指摘されている。人口の変動要因は,さまざまな原因が関係しており,唯一の原因を考えるということは難しい。しかし,各国の条件の相違を考慮しつつ,それぞれの国の対応策をみていくということは,急速な人口構成の少子化・高齢化を迎えている日本にとって,検討に値することであろう。次に,ドイツの取り組みの現状について,より立ち入って検討していくことにする。1片木[2012],第6章を参照。人口構成の高齢化に関するデータについても同様。2Sachverstandigenrat zur Begutachtung der gesamtwirtschaftlichen Entwicklung[2011]S. 21-22.