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110号

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概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性37(2)ドイツ連邦政府の「人口戦略」と人口減少地域の支援人口構造の変化について,ドイツ連邦政府は「Demografischer Wandel」という表現を使っている。「Demografischer Wandel」は,直訳すれば「人口構造の転換」ということであるが,大きくみれば3つの意味を持たされている。1つは,少子化による人口の減少と,平均寿命が延びていることによる人口構成の高齢化,2つ目には,都市部における人口の集中と,周辺部・農村部における人口の減少,最後に3つ目には,移民の増加である。ドイツにおける「Demografischer Wandel」に対して,連邦政府の取り組み方針を提起したのが,2012年4月25日に公表された人口戦略“Jedes Alterzahlt”である3。人口戦略は,この間の連邦レベルにおける人口問題に関する議論の一つの到達という性格を持っている。ドイツ連邦内務省によると,連邦政府の人口戦略策定に向けた準備は,2009年11月に始まったということである4。その後,専門家による議論,東ドイツ地域でのモデルプロジェクトの実行などを経て,2011年10月にはドイツ連邦政府による人口報告(Demografiebericht)が発表されている。人口戦略は,人口報告で上げられた課題について,どのように取り組むのかという指針を提示しているものである。人口戦略の目的は,各個人が生活状況と年齢に応じたチャンスをもつことができ,それぞれの潜在能力を発展させ,それぞれの思い描く生活のイメージを現実にすることであるとされている5。この目的を達成するために,家族や教育,労働生活,名誉職原理,健康・医療などの分野について条件づくりを行うことが,連邦政府の役割であるとされている。人口戦略において具体的に掲げられているテーマは,6つの分野におよぶ。その分野は,1共同体としての家族を強化すること,2やる気を持てる,質の高い,健康的な労働の実現,3自己決定できる高齢者の生活,4農村地域における生活の質と統合的な都市政策を支援すること,5持続的な成長と福祉状態3Bundesministerium des Innern[2012].4Bundesministerium des Innern[2011]S. 8.5Bundesministerium des Innern[2012]S. 6.