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110号

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概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性39民の参加が求められるべきで,住民の参加があって初めて課題を克服できる,ということである。モデルプロジェクトの中で対象となる個別分野は,上下水道,エネルギー供給,インターネット接続(ブロードバンド),移動手段の確保,消防・救急,医療・介護,居住地の近くで行われる教育,子どもと青少年分野,文化・スポーツ施設,公的行政,の10分野があげられている8。こうした分野において,人口構造の変化に合わせたインフラ整備が求められており,整備をすすめる上でポイントになるのは,インフラの現代化(Modernisierung)であるとされている。インフラの現代化とは,柔軟な提供形態と効率的な組織構造を形成することを意味しており,そのためには3つの点が重要であると指摘されている。1部門を越えた,統合された解決法を探ること,2集権的な目的設定と,分権的な実施体制の構築,3地域の自己責任の強化と協働,の3点である。旧東ドイツ地域におけるモデルプロジェクトは,その経験に基づいて,将来的にドイツ全体の人口戦略をリードしていくことが求められており,早いものでは2010年から,多くは2012年から,6地域において取り組まれているということである9。2.生存配慮概念の現代的意義(1)生存配慮概念の定義人口減少地域の地域政策を問題にする際に,1つのキーワードとなっているのが「生存配慮」(Daseinsvorsorge)である。「Daseinsvorsorge」という表現はドイツ特有のものであり,アメリカやオーストラリアでは「universalservice」,イギリスでは「public service」や「services of general economicinterest」,EUのドイツ語表記では,「Dienstleistungen von allgemeinem(wirtschaftlichen)Interesse」などと表現されるものである10。全体として,公8Der Beauftragte der Bundesregierung fur die Neuen Bundeslander[2011a]S.11-28.9Der Beauftragte der Bundesregierung fur die Neuen Bundeslander[2011b].10Neu[2009]S. 9.なお,Daseinsvorsorgeの訳については,中富[1983]に従った。