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110号

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概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性43いては,上下水道,公共交通も課題である。上下水道については,整備のためのコストを回収できなくなる懸念がある。排水施設の整備を行う際には,長期間の使用を前提に投資を行うため,浄化のために大きな設備がいる。しかし,人口減少により,使用料によってコストの回収を行うことができなくなってくる。小規模排水路を導入するという選択肢もあり,今後さらに人口が減るなら検討に値するが,それでもコストが高すぎるのが現状である。公共交通については,自動車で動く人も多いが,老人,免許のない人,小中学生はバスに乗らないといけない。しかし,バス利用者減が,バス路線の維持を難しくするため,維持するための方法を考えていかないといけない。人口減少にともなう生存配慮に関する課題に取り組むためには,3つの点が重要である。第一に,地域の人口予測をすることである。20年後にはどうなっているか,都市周辺,農村地域など地域ごとの側面,変化を考え,人口数,高齢化率,生徒の数などを地域別に明らかにする必要がある。それから,どのような課題をどのように解決すべきなのか,考えることができるようになる。第二に,自治体間の協力である。過疎化の進む地域において,小学校の維持,医師の確保など,自治体間の協力で解決できるかどうかを追求していく必要がある。最後に,国・州のレベルで規制を現状に合わせて変えていくということである。例えば,小学校は生徒が最低60人必要であるという規制,バス路線を維持するためのバス利用者の最低人数,インフラ投資のための財源負担のあり方などが焦点になる。現状の規制では厳しすぎるので,地域の課題に合わせて柔軟な解決策をつくるための条件を作っていくことが重要である。3.生存配慮の保障に関するモデルプロジェクト:AktionprogrammRegionale Daseinsvorsorgeの試行(1)プロジェクトの概要とBMVBSの意図BMVBSは,2005年から人口減少地域における生存配慮の保障に関する研究を始めており,現在では2012年から始まった地域の生存配慮の保障に取り組