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110号

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概要

110号

46高知論叢第110号プログラムの理念は,絶対的な同等の生活様式ではなく,同じ価値を持つ生活レベルを全ての地域で実現するということである22。都市,農村でそれぞれ条件は違うが,それでも最低限の生活は皆が同じようにできるようにするということが目標である。その際に,中心地の考え方を基本にすることが重要である。日常生活に関することは小中心地において整備されているようにし,以降目安として,高校などは中規模の中心地において,大学,空港などは大中心地において整備するといったように,住民がどこに住んでいても,必要なサービスにアクセスできる環境を作っていくということである。各地域において,市長,郡の代表者なども加わり,住民の会合により,取り組むべきテーマについて話し合いが行われる。課題の解決案については,連邦政府による評価機関があり,専門的な評価も行われることになっている。そして,プログラムに取り組む地域間の交流を目的として,「プロジェクト工房」という企画を年2回行うことで,地域間の学びあいも重視している。プログラムに期待されていることは,大きく3点ある。1つ目は,地域の存続を可能にするようなよい戦略を,21のモデル地域が考え出してくれることである。2つ目は,モデル地域の経験から,他地域への応用が可能な新しい対策が生まれることである。3つ目は,モデル地域が生み出した課題に対する解決案に基づいて,より現実にあった法令・基準のあり方について連邦と州が考える素材を提供することである。現実にあった規制改革に関する1つの例は,学校である。ドイツの子どもは,6年生から将来の進路に合わせて,職業学校,アビトゥーア,工学技術者の学校などに進学することになる。しかし,そもそも学校がない地域については進路の選択肢を充分に確保できない。そこで,1つの学校で違う進路が可能になるように,職業学校,アビトゥーアなどが共存することができるように学校設立の基準を改正する,といったことが念頭に置かれている。22「Aktionprogramm Regionale Daseinsvorsorge」の内容については,BMVBSのサイトに紹介がある(http://www.regionale-daseinsvorsorge.de/)。また,プロジェクトの概要の説明については,特に断りのない限り2013年3月8日に行った,BMVBSにおけるヒアリング調査による。