ブックタイトル110号

ページ
53/126

このページは 110号 の電子ブックに掲載されている53ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

110号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性472013年3月現在のプログラムの進行状況は,最終年度の2014年度に実行するための解決策を考えるステップに入っているところである。具体的な事例として,バスの減便対策のため,車両の小型化,共同利用なども含む自家用車による代替,バス利用者のためのウェブサイトの立ち上げ,携帯電話での連絡システムの構築などがある。その他,廃校になった空き校舎対策の事例や,医師不足への対策として,患者に対してはまず看護師が対応し,ウェブ,通信技術で医師の遠隔診療が可能になるようなシステムづくりの事例などが上がってきている。(2)州レベルで見たプログラムの意義と課題:ベルリン・ブランデンブルク州担当者に対するヒアリング調査からドイツにおいては,連邦レベルに国土政策(空間秩序政策:Raumordnungspolitik)の責任があるため,プログラムについても連邦から方針が出たが,実際に国土政策を具体化していくのは各州政府の役割になる。そこで,プログラム採用地域が最も多いブランデンブルク州に注目し,州のプログラム担当者に対してヒアリング調査を行った23。同調査に基づき,内容を筆者が再構成して,州レベルから見たプログラムの意義と課題について検討する。旧東ドイツ地域にあるブランデンブルク州では,4つのモデル地域があり,2つは郡,2つは市と周辺地帯の組み合わせで計画を作っている。基本的には中心地理論でやれそうな市と周辺地域で考えており,郡を単位にするとサイズが大きく郡内での相違が大きいため,プログラムを作るにはあまり理想的ではないという。住民,民間団体の参加を考えたときに,例えば町から町まで100kmも離れていると,集まるのも大変になってしまう。もっとも,スタートの段階では地域の枠を柔軟にしており,取り組む地域の範囲を大きくするか,小さくするかは上から決めずに地域の意向を重視したとのことである。プログラムを進める前提には,1990年代以降の地域がおかれている環境の変化がある。大きくは2つで,東西ドイツ統一と,経済活動のグローバル化の進232013年3月7日,ベルリン・ブランデンブルク州共同州計画局・Uwe Ruhl氏へのヒアリング調査。