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110号

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概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性49みたいのかが異なっているということがある。例えば,若者の教育,健康維持,交通インフラの強化など,地域によって重点が違うので,地域の多様性を保持しようということを重視しているという。プログラムは地域政策における新しい手法であり,かつての連邦の官僚,政治家が上から決めるということから,違う方向を目指している。住民を中心として民間の参加があることで,取り組むべき課題の分野について,公務員や役所が紙の上で考えたことと,地域の考えと優先順位などが異なってくる可能性がある。重要なことは,問題を抱えている当事者たちが,問題を現実として受け入れ,社会の課題として自分たちで解決するという方向に向かうことであり,民主主義的プロセスにのせていくことである。今までは言うなれば「水まき政策」で,連邦,州などから財源と政策を出せば,後は勝手に何とかなるといった感じであったものが,今や,地域ごとで何を優先して解決し,考えるか,テーマを決め,自分たちで進めていくようになっている。地域で取り組む課題については,住民参加のワークショップを行って検討している。ただし,住民全員が参加するわけではなく,課題に関係する活動グループとか,何らかの会員などが来るようになっている。それでも,ワークショップを行うときにはジャーナリストを必ず呼び,地域全体に知らせるようにしている。また,地域住民をサポートするための外部人材として各種専門家の参加もあるが,現状では,経済関係の専門家が多い。それは,何らかの取り組みをするには必ず財源が必要になってくるということを十分に住民が理解していないことが多いため,取り組みに関わる財源面でのアドバイスを行うことが求められるためである。プログラムを進めていく上で住民の参加が大事なことであるが,課題もでてくるという。プログラムそのものが地域の持続性を考えるというものなので,テーマは健康・医療,移動,教育,介護,消防,洪水対策といったものになってくる。しかし,集落の閉鎖や,使用されていない道路の維持に関わる経済性など,地域住民にとって合意の難しいテーマについては話題にされにくいといったように,取り組むべき課題が住民の関心に左右されてしまうということがある。例えば,どのような形で地域の高齢者の生活を維持するかというこ