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110号

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概要

110号

50高知論叢第110号とについては,あまり話したがらないようである。高齢者の生活を支援するためには,大きく2つの考え方があり,今までどおり分散した形で居住することを前提にするか,市の中心部に1か所に集中して生活してもらうようにするか,といったことである。住民の感情としては,将来みな高齢者になるものの,今のところあまり話したくない,といったもののようである。州内の4つのモデル地域について,半年に1回,州での会合があり,交通,消防,教育などのテーマについて相互交流を行っている。その際に,法的課題があれば,州として変えることもできる。州政府のなかに,プログラム担当のRuhl氏がコーディネート役として関わっている,州全体として課題をまとめていくグループがあり,プログラムに参加していない地域への応用も考えている。ブランデンブルク州には全体で46の中規模地域の区分があり,今回のプログラム以外の助成事業もあるので,州全体での交流の機会を年何回か作っている。そこで,プログラムに参加したモデル地域は,取り組む課題について州レベルで先行して議論ができるという「特権」を持っているということができる。モデル地域には,連邦,州政府の職員も訪問に行くので,直接地域の状況を見てもらうこともできる。中心になる市とまわりの共同体,連邦,州も含めて,様々に意見を交換し,課題の解決策を探り,協力・連携することが大事なことであるという。(3)オーダーラント地域(Oderlandregion)におけるプロジェクトの実行実際にプロジェクトに取り組んでいる地域のひとつである,ブランデンブルク州オーダーラント地域において,現地調査を行った。前稿において簡単に紹介したが,本稿において調査内容を詳細に報告することで,プロジェクトの状況と課題について現場の観点から整理していきたい24。オーダーラント地域は,メルキッシュ・オーダーラント郡(Landkreis Markisch-24田中ほか[2013]pp. 108-109を参照。なお,現地調査は2013年3月9日,ゼーロウ(Seelow)市役所において,ゼーロウ市長Jorg Schroder氏,プロジェクト担当ThomasDrewing氏,プロジェクトの外部監査を担当しているMichael Gade氏に対するインタビュー調査として行った。なお,オーダーラント地域の進めるプログラムについての専用サイトもある(http://www.oderlandregion.de/)。