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110号

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概要

110号

52高知論叢第110号へ拠出している。中心部になるゼーロウ市には,行政機関,学校,医療サービスセンター(360人の医師・看護師),サービス業などが存在しているが,大企業はない。学校は,小中高,精神障害者の特別学校,政治のための教育センター(中高年の転職のため)があり,340人の教員・事務,生徒数は200人である。学童保育(1 - 5年生)は210人の生徒が利用しているが,今後の人口動向を考えたときに,新しい学童保育所が必要かどうか思案しているところである。市と郡の協力で,学校と病院については投資を進めている。また,「ゼーロウの丘」という第2次大戦記念の地があり,観光地としての整備を行っている。「ゼーロウの丘」は,1945年4月,ソ連対ドイツの戦闘があり,戦争の帰趨を決めたとされる有名な地で,ロシア人兵士の墓地もあるため,ロシア人・ドイツ人双方に戦争を考える機会を与えるものである。オーダーラント地域が計画を進めているプログラムについては,4つの重点がある。消防,教育,健康医療,モビリティの4つである。今回の調査では,消防,医療,モビリティに関する課題を中心に聞き取りを行った。消防の維持については,消防士の確保が難しくなることが,地域の消防体制の崩壊につながる恐れがある。現状においても,消防車が消防署を出てから4分以内に到達できない地域に住んでいる住民が,1,853人(全体の約6 %)おり,6分以内でみても,なお150人が到達できない地域に住んでいる。消防は地域のボランティアによって支えられているため,地域の大きな課題となっている。2010年と2011年の合計で,消防車の出動が地域で1,109回あったが,そのうち平日の6時から18時までの出動が475回と約4割であった。すなわち,仮に人口が減少しなかったとしても,地域で雇用が減り,地域外に働きに出て行く人が多くなれば,昼間人口が減少してしまうため,消防体制の維持は難しくなる。人口減少は,消防体制の維持に影響を与えることになる。図1は,オーダーラント地域における消防士数の予測を示したものであるが,2015年ではまだ地域全体で必要な数を確保できている見込みであるものの,2020年以降大きく減少し,2030年には340人ほど不足するという見通しである。このままでは,地域の消防署の維持ができなくなるところがでてくるため,何かしらの対策を取