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110号

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概要

110号

ドイツの過疎化地域における生活支援の方向性55であるのに比べると,使い勝手が悪い。そこで,多くの住民が自動車,あるいは家族・知人の車に乗せてもらっている状況である。生存配慮に関わる住民サービスの保障と移動手段の確保との関係という観点から,機能別に3つのレベルの地域拠点を設定し,どこに住んでいても必要なサービスにアクセスできるようにしていく必要がある。第1レベルの地区は,住人数1500人以上で,必要なサービスはほとんど提供できる拠点として設定する。第2レベルの地区は,住人数500~1500人で,ある程度のサービスが提供される拠点として設定される。3つ目は重要な拠点集落で,住人数は250人以上,簡単なサービスが提供され,交通の便がよいところに設定される。車での移動に限ってみれば,現在では地域の95%の住人はいずれかの第1レベルの地区に15分以内で到達することが可能である。バスや鉄道に代わる代替輸送手段の方法としては,今のところ自家用車など個人で解決するという形になってしまっている。交通弱者対策のため,郡として2012年から「Rufbus」という仕組みを導入した。90分前までに連絡をするとバスが来てくれるという仕組みだが,あまり使われていない。一方,郡内の他地域にあるミュンヘンベルク市において通院,介護のための「患者バス」を導入したところ,利用者が多い。そこで,上から計画が作られる「Rufbus」ではなく,「患者バス」のようなものをつくるべきであり,住民の声を聞き,郡レベルの人も交えて検討すべきものである。プログラムに掲げた4つの重点課題について,今後地域住民の参加のもとにワークショップを重ね,課題の解決策を探ることになる。しかし,住民参加は大事だが,意見を出してくれる人は多くないのが現状である。プログラムに取り組む意義は,住民の間で問題を認識し,自分たちの問題としてとらえて,解決法をともに探るというプロセスをもつということである。ゼーロウ市としては,まず,高齢者のことを考え,そして若者のために何ができるか,将来性について何かを提供できるようにしたいという立場から,住民の活動を支援していきたいと考えている。