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56高知論叢第110号おわりに人口減少下において,周辺部におかれることになる地域の生活条件の維持が課題になることは,日本と同様にドイツでも生じている。ドイツで試行されているモデルプロジェクトは,行政主導の取り組みには一定の限界が見られることから,住民主導で取り組むことに重点を置くようになっている。しかし,人口減少という現象は短期的に変化するものではないため,各種課題に対する取り組みも数十年単位の長い取り組みにならざるを得ない。そして,課題の解決は簡単ではない以上,各地域の取り組みについての相互の学びあいを通じたよりよい地域政策の発展が期待される。なお,本稿を踏まえて2つの課題がある。1つは,具体的な事例として取り上げたオーダーラント地域の取り組みについて,調査時点から時間が経過しており,改めて取り組みについてフォローしなければならないということである。2014年度はすでに課題解決方法の施行段階に入っているはずであり,住民の話し合いの過程と具体的な解決策について検討する必要がある。もう1つは,時間の制約上,生存配慮概念をめぐる議論について立ち入って検討できなかったことである。2つの課題については,次稿の課題としたい。最後に,本研究は,科学研究費補助金・基盤研究(C),課題番号24530717,研究代表者・田中きよむ,研究課題名「限界集落の地域的孤立化を基盤とする要援護者の孤立化問題と生活支援」による研究成果の一部である。【参考文献】片木淳[2012]『日独比較研究市町村合併』早稲田大学出版部塩野宏[1989]『公法と私法』有斐閣霜田博史[2008]「現代ドイツの地域間格差是正政策に関する一考察」『高知論叢』第93号,2008年11月田中きよむ・水谷利亮・玉里恵美子・霜田博史[2013]「限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり」『高知論叢』第108号,2013年11月中富公一[1983]「E・フォルストホッフの憲法論の形成生存配慮概念の提唱まで」