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60高知論叢第110号津や停泊を規定した風・潮の影響について考察するものである。一.土佐藩領における湊の分類,湊のなかった浦での「ふりかゝり」(振繋)1.『南路志』の「東西湊」について『南路志』(文化10<1813>年成立)には,湊に関する史料がみられる。この中で「東西湊」に関する項目において(註3),安芸郡では甲浦・室津・津呂・佐貴(喜)浜,香美郡では手結,吾川郡では浦戸,高岡郡では須崎,幡多郡では清水・天地・泊・福良・湊浦の12浦を掲げ,各「湊」には「口」(入り口)の幅と深さが記されている。ただし,12浦のうち4浦(室津・津呂・佐貴(喜)浜・手結)は「堀湊」であり,堀湊に関しては,来歴(佐喜浜には記載なし),湊の口の長さと幅,深さ,風向きや潮の干満による「大船」入津の可否なども記載されている(表1参照)。表1「東西湊」記載の湊の広さ,深さ甲浦土佐口~277間,深21尋。京口~62間・深8尋。佐喜浜口~長33間,幅5間3尺,深1尋(満潮時)。「大変以来は此辺之潮干上り,津口はけ込,今ハ大船は不入,湊之内長百十七間并五間八間或十四間,深一尋一尺」津呂口~長71間,幅11間,深2尋(満潮時)。湊内~長100間・幅27間・深2尋3尺(満潮時)。「干汐ニハ大船入かたし」室津口~長50間,幅7間3尺,深2尋。湊内~長143間・幅38間・深2尋3尺。「潮干満ニかまひ無し,難風にハ入かたし」手結口~長21間,幅8間,深2尋。湊内~長61間・幅26間・深2尋。浦戸(記載なし)須崎口~108間,深6尋。清水「入海十八丁」,湊口~広61間,深14尋。「潮之干満ニかまひなし,船出入よし」。天地口~200間,広(深ヵ)3尋。泊口~72間,深7尋。福良口~150間,深7尋。湊浦口~300間,深10間。注『南路志第1巻』(高知県立図書館刊,1990年)487~488頁所収史料より作成。