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110号

82高知論叢第110号一切は高知県又は(改行)高知県水産会より支出するに至るべく移民の数は不明であるけれども兎に角田村会長,横山技師等は基隆に於て家屋の借入其他に関し実地視察中であるから近く具体的の決定に見るに至るであろうと伝へられて居る而して高知県では県補助金の下に遠洋漁業奨励の為往年朝鮮に漁村を設け大に画策する所があつたけれども種々の(改行)故障の為に遂に成功を見るに至らなかったが今回本島への漁民移住も大体朝鮮にて試みた方法にて行はれるものではあるまいかと云ふ尚ほ基隆には高知愛媛の漁民相当渡来し居り基隆珊瑚の発見者山本秋太郎氏の如きも高知県出身者であるが愛媛県からも基隆に(改行)五百名ばかり渡来して居つて此内百名内外は珊瑚漁業に従事して居るものであるとしかしながら,高知県当局としては珊瑚漁業のみを以て台湾水産業進出の主目的としていなかったことが,『新報』の中の記事から読みとれる。1924年8月台湾を訪問した「高知県会議員,水産組合長,織物同業組合長,政友会幹事等の要職に在る」田村実5がインタビューに答えた内容を,『新報』は次のように紹介している。高知県の珊瑚漁業移住と一般漁業移住との関係を明確に表す重要史料の1つと考えられるため,長文であるが全文を記載する。◆1924(大正13)年8月16日高知県漁夫の台湾移住計画珊瑚を狙つてでは無い幼稚な水産界を開拓する為め高知県会議員,水産組合長,織物同業組合長,政友会幹事等の要職に在る田村実氏は去る五日来台,全島の視察を了へ十六日の便船にて帰途に就く筈であるが氏の来台は時節柄非常なる注意を喚起してゐる。十五日旅宿に往訪したる記者に対し氏は大要次の如く語つた(改行)基隆□の珊瑚熱旺盛の折柄利権取りに来た如く誤解されて居るが今回来台の要件は全く台湾水産業視察の為めである。本島の漁業は潮流の関係,漁獲の方法其他気候等の点に至る迄高知県の夫れと非常に似通つてゐる。高知県は人口七十万の内十万人は実に漁村に於て占められ従来我国第一の漁