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86高知論叢第110号高知県から二十戸の漁民を(改行)漁獲高百万円を標榜する漁港蘇澳の飛躍(改行)総督府の森脇技師は全国水産主任会議列席の序でを以つて高知県に立寄り蘇澳の(改行)漁業移民□に関する資料などを提供してこのほど帰台した蘇澳漁港は約八十万円の経費を投じて新設した東海岸唯一の漁港であるがまだ充分に利用されてをらず殆んど処女漁場とも称すべき東部地方の漁場は昔のまゝに取残されてゐる始末であるので総督府では台北州に補助をなして本年度から約二十戸の内地移民を太平洋沿岸から入れて水産業を(改行)大発展を□計ることゝなった,ソレには台湾の状態とよく似た高知県あたりの漁業者をつれて来て旗魚の延縄その他各種の漁具漁法の改善を行ひ著々事業の発展を計つて行かうという計画であつてその漁業移民には家屋,船,漁具などを与へ大に優遇する方針である,一方高知県では台湾にこの計画あるを聞くや(改行)県当局が□大に世話をやき是非蘇澳の漁業移民は高知県から送りたいといふ希望であるので本島からすれば誠に願つたり叶つたりで頗る好都合である,ソレにしても県当局者は蘇澳方面の情況を詳しくは知らぬので現在の状態を知らしむるため森脇技師がわざわざ高知県に立ち寄つたわけだが同地では非常の好感を以つて迎へられ漁業移民の希望者が頗る多いとのことであるから或は予定戸数(改行)二十以上□を入れ得ることゝなるやも知れぬ模様で正式の漁業移民募集には近く台北州から当局者が出掛くることゝなるだらう,なほこの移民が到着すると蘇澳の漁業は急激な発展を遂げ現在の漁獲高三十万円から五十万円となり百万円となるも遠いことではあるまいと期待されてゐるそして,『新報』は,南方澳(蘇澳)移住事業開始後4年ほど経った状況を次のように記している。〈台湾総督府・台北州高知県〉の連携を基礎に,移住する者(財産一式を携えて最初から「永住」を志す者)と,それを迎える「同郷」の先住者との交流の姿が具体的に記されている。◆1929(昭和4)年6月20日