ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

100高知論叢第111号成果を商品・サービスとして享受してくれる地域住民との出会いを通じて,それらの自立が総合的に支援・支持される。障害者福祉・高齢者介護等の福祉システムに関し,大きくは,税を軸とする行政ケア中心の北欧型福祉システムに対し,社会保険を軸に,民間活力や地域福祉力を組み合わせる共助+自助を志向するドイツ・日本型(およびアジア型)福祉システムを対置する国家類型が考えられる(図表1)。しかし,それらの基本的傾向をもちつつ,前者においても民間活力や効率性,地域福祉を重視する変容が見られる一方,後者においても包括的なケアを推進する動向が見られる。各国の現状視察をふまえ,図表1公共性??市場性自主性普遍性??選別性差異性公助共助自助税社会保険民間活力ボランティア北欧諸国ドイツ・日本韓国・台湾アメリカ注)広井良典『日本の社会保障』(岩波,1999)p. 18の図表に加筆した。それらの比較検討を行う。障害者権利条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)は,2006年12月13日に第61回国連総会において採択され,2008年5月3日に発効した。2014年1月20日になって,日本の条約批准が承認され(141カ国目),同2月19日に国内で発効した。同条約では,「障害者には,長期的な身体的,精神的,知的又は感覚的な機能障害であって,様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む」(第1条)とされ,「障害に基づく差別」とは,「障害に基づくあらゆる区別,排除又は制限であって,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のあらゆる分野において,他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し,享有し,又は行使することを害し,又は妨げる目的又は効果を有するものをいう」とされ,「障害に基づく差別には,合理的配慮(reasonableaccomodation)の否定を含む」とされる(第2条)。「社会への完全かつ効果的な参加及び包摂(inclusion)」などが一般原則とされ(第3条),「障害者が,他の者との平等を基礎として,居住地を選択し,及びどこで誰と生活するかを