ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

102高知論叢第111号市であり,障害者・高齢者福祉の先進自治体と目されている(人口約63,000人)。スウェーデンでは,主として高齢者福祉に関わる社会福祉サービス法に基づく施策は市町村民税によって賄われ,ある種の機能が十分でない人々への支援サービス法(LSS法;Lag om Stod och service till vissa function-shindrade)に基づく施策は国税によって賄われ,医療・健康に関わる施策は県税によって賄われている。スウェーデンでは1900年代に大規模の知的障害者施設があったが,1980年代に閉鎖が始まる。そして,コミューン(kommune市町村),すなわち自宅やグループ住宅に戻ることになった。1)障害者のデイ活動障害者は,LSS法が制定されて(1994年)から約20年目を迎えるが,特別住宅(LSS法に基づく),デイ活動(市内10ヶ所),ショートステイ,パーソナル・アシスタント,ハビリセンターのサポート(理学療法,作業療法,言語聴覚療法)が受けられる。LSS法は,自治体にとって遵守すべき義務法である。デイ活動の主な対象は知的障害者と中途障害者であるが,1自閉症の人,2職場に実習生として出せる人が増えている。重度の脳性麻痺は,母子保健指導が行き届くようになって少なくなっている(ただし,外国人では増えている)。特別のサポートを受ける住宅は,1グループ住宅(1グループ5名くらいで,24時間スタッフがサポートする),2サービス住宅(より自立した人が対象であり,24時間サポートの必要がない)に分けられる。デイ活動の一環として,視察先(「SOUL」)ではこのレストランも運営されている。デイ活動は市内10か所あるが,利用者が選択する。一般的な職場に近い就労能力の人から,重複障害のある人まで,障害者の幅は広い。視察先のレストランは,一般的就職に近い就労能力の高い人が利用しており,高い生産能力が求められる。レストランでは,毎日150名分の食事が作られている。自閉症の人の活動は,1攻撃性や行動障害のある人の活動,2物理的環境を整えることによって対応する活動,の2つに分かれる。脳の中途障害のある人は,1重複障害のある人,2脳性麻痺の人,に分かれる。なぜ,幅広い活動が用意されているかというと,すべての人に開かれ,自己決定が尊重されるからである。機能