ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討103障害があるにもかかわらず,一般の人と同じ生活ができる。社会福祉サービス法は,必要な人に特別住宅を提供するという規定にとどまるが,LSS法は,特別住宅が不足していれば作らなければいけない義務がコミューンの社会福祉局に課せられている。3ヶ月以内に特別住宅を提供しなければ,コミューンは罰金を徴収される。2009年に制定された自由選択法(Lagom valfrihetssystem)によって,コミューン,民間企業,NPOなど,利用者がサービス提供主体を自由に選択できるようになり,互いに競争できるようになった。質を高める競争のために,利用者がコミューン以外の提供主体を選ぶようになった例もある。また,独自のデイ活動をもっていないコミューンは近隣のコミューンから買い取ることもできる。市内10か所のデイ活動拠点で計120名の利用者がおり,計60名のスタッフが働いている。訪問先(SOUL)では,14名の利用者に対して4名の職員が配置されている(自閉症の場合,13名の利用者に対して10名の職員が配置される)。利用者は,ほとんどが障害年金を受けており,30歳になると,一般の職場に復帰できるかどうかという査定を受ける。利用者は,野菜の準備をしたり,音楽を聴きながら就労することを楽しんでいる。LSSに基づく施策は税金で賄われ,とくにパーソナル・アシスタントは予定以上の費用がかかるので,利用限度を設けるのかどうかという調査が行われる(社会保健事務所が決定)。経済的な仕事をするかどうかは利用者とスタッフがオープンな議論をする。経済的な仕事をすることは、税金が用いられるので,クオリティを上げることになる。2013年秋には,新しい組織として,介護福祉の株式会社を作った。利潤をあげれば,コミューンに還元される。そのようなビジネスは,LSSの範囲内の仕事であり,株は100%市が保有している。介護福祉で大きな利潤をあげた会社があるが,利潤を得るためには許可が必要である。「SOUL」は市から委託を受けており,利潤を得るためには,市から許可を買い取る必要がある。「SOUL」では,スタッフの教育に力を入れており,誰に対してどういう活動をしたかをデジタルでチャートに記録する。職員はプログラムを学ぶ。その基礎として,職員は高校で必要な教育(準看護師と同じ内容)を受け,大学では福祉教育士を取得し企業で実習を受けるが,教育学を含むプログラムを学