ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討123行ったりもする。りんごの木が庭にたくさんある拠点もある。高齢のために自分で運転できない人もいるが,外に出ることで様々な人との出会いが生まれる。ここでは,65~94歳の人が来る。シニア・ミーティングも行われる。テレビの古い番組をリピートすることもできる。15mの絨毯を織っている女性もいる。ライムグリーンで,クリスマスになると赤色に変わる。週1回,仕事をしている人が出会う。2名の日本人女性もいる。2週間に一度,実費負担でパンを焼く。男性だけで食事をとることもある。図書室やマッサージイスなど,家族で疲れ切っている人も利用できる。【小括】障害者や高齢者,青少年に対する福祉サービスや地域活動を見てきたが,一人ひとりの個別ニーズを見極めながら,必要な支援が行われたり,自己実現がサポートされている。青少年を取り巻く環境は麻薬など深刻な事態に直面しているが,市のソーシャルワーカーが地域の青少年の家を拠点にして予防的な活動に精力的に取り組んでいる。障害者や高齢者に対しては市のニーズ査定に基づき,様々なサービスや特別住宅を通じて,在宅・地域生活が支えられている。サービス提供主体は多様化が進み,民間委託が進められると共に,公私が質を高める競争をするとともに,利用者には,その選択が保障されている。モービル・ペンの活用などを通じて,時間管理を徹底するシステムも導入されている。他方,障害者や高齢者には,デイ活動,文化活動,ボランティアセンターなどを通じて,地域活動や就労に向けたエンパワメントが行われる環境づくりが積極的に進められている。高齢者が日常生活を楽しんだり相互に支えあう活動も定着している。北欧の福祉システムは伝統的に「公」中心のシステムと目されてきたが,近年,民間委託化や公・民競争,サービスの選択の自由,さらにボランティアの積極的推進など,大陸ヨーロッパやアジア諸国と共通する要素が広がっており,双方のシステムの接近を見て取ることができる。