ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討131200EURの補助が出されるようになったが,フランクフルトの高齢者も所得が多いわけではなく,預金は子世代のために残されるので,施設費用には回されない。ルームシェアに関して,1人あたりの家賃が月400~500EUR、食事・掃除・トイレットペーパーの費用が月230~240EUR,一括料金が月1910EUR,計2700EUR程度になるが,うち200EURがフランクフルトからの補助金で賄われる。残り2500EURのうち,年金受給者は年金から,子どもがいれば家族から支払われるが,一例として家族からは160EURしか支払われない。ルームシェアの空間を確保するのもたいへんであり,探すこと自体が難しい。2006年度から一戸建て住宅を構えることを考えていたが,できなくなった。月2500EURにプラスして介護保険サービスを利用するが(ホームヘルプ),最重度の要介護Ⅲで1日5時間までの利用となっている。ここでは24時間ケアが受けられ,自分である程度のことができる人を対象とするが,予想以上に重度化することもある。一人が亡くなると別の人が見に来るが,その人が入る段階では重度化していることもある。必要に応じて介護保険サービスも利用できるが,それだけの人手も必要になる。病気になった時は別料金を徴収する。ドイツでも援助付き住宅があるが,常に社会福祉士を配置するか,連絡がつくようにしなければならない。ルームシェアの所長は看護師と介護経営士の資格をもつ管理者であるが,他の人は彼女から学んでいるものの,専門職というわけではなく,入居者の世話をしながら一緒に住んでいる。スタッフは,利用者を誘って,食事,掃除,洗濯,庭の水やりなどを一緒におこなっている。普通の家庭のように一定のリズムが保てるようにし,なるべく家庭のような生活を心がけている。病気や介護が必要になった時は専門的なサービスを利用することができる。訪問介護は,8時~14時の間,2戸を介護福祉士が訪問する。職員が一人ついているが,施錠しないので,警察に捜索願を出すこともある。7名利用のルームシェア(1階)では,自由に自分の所有物を持ち込める。猫を飼うのも問題ない。最低職員が一人おり,それにプラスして2~3名が介護のために来る。日常のサポートをする職員とヘルパーは異なる。夜だけ泊まりに来る人もいる。定期ではないが,実習生や失業手当を受けているアルバイトが来ることもある。利用者の状態や支援者の人数によっては皆で外出するこ