ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討137などに障害をもつ),一緒に本を読んだりボランティアなどの活動に取り組む,4様々なセラピーに医師と協力しながら取り組む,ということが目指されている。ドイツでは,要介護高齢者の過半数(246万人中170万人)は在宅で生活しており,在宅ケアの過半数は家族ケアを受けている。低所得者の場合,就労とみなされるので,介護手当(現金給付)が選択されやすい。介護の社会化に反するということはドイツでも今でも議論されている。一方で,高齢化の問題が大きくなり,要介護高齢者の増加に対応して専門職へのペイが難しくなっている。誰もが自宅で住み続けたいと思うが,それぞれの人生哲学が尊重されなければならない。どこに住むかということよりも,その人の自主性が大事である。施設に入りたくて入って来ているわけではないので,その人の自主性,自発性を大切にしたい。外出等の強制をしないことが,かえって行動に自由を広げている。誕生日を迎えた男性利用者のところに立ち寄ると,好きなところに行って酒を飲んでいた。職員100~120名のうち,外国人は50カ国から来ている。人手不足が原因であるが,高齢者住宅では日本人が責任者になっている。職員にとって最初は言葉の問題もあるが,外国人を受け容れることで,利用者も心が広がる。実は,介護・看護職は責任が大きいにもかかわらず,良い職業とはみなされず,ドイツ人にとって魅力的ではない。日中・夜間のシフトも,他産業であれば手当がつくが,介護・看護職はまったくつかない。ドイツでは100万人以上の外国人が働いているが,ドイツ人にとって魅力的ではない。ドイツ人と同じ条件ではなく,生活が厳しかったり,本国にいられない人がドイツに来て働いている。食堂では3種類の食事を選択することができる。職員も利用者も予約なしに誰でも利用できる。小さな図書室もある。両替(Kasse)もしてもらえる。法律的に後見人が指名され,その人と話し合う。本人の所得が足りない場合は,寄付金による補助もしている。所持金を預かる場合は銀行に預ける。礼拝堂は50年前と変わっていない。50名くらいがミサに参加する。宗派に関係なく来ることができる。大切なことはキリスト教の精神を理解しているかであり,キリシタンになる必要はない(キリシタンでない人も多い)。