ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

12高知論叢第111号図6国の資産構造の歴史的変動モデル19世紀20世紀21世紀農地資本住宅金融資産れ,国際市場が形成される。以上のように,農地>宅地>現物資産>金融資産となり,国の資産構造は推移する。国民経済の中で金融資本が主要な役割を果たす時代においても,農地が重要な国富となるか否かは,農業が産業構造の中で重要な割合か否か,地主制の有無,土地現物市場の存在などの諸条件に依存する。昭和戦前期までの日本の資産構成は,農地>宅地>資本という状態であった。日本は農地が非常に狭いにも拘らず,農地が資産の太宗である期間が永かった。かつての日本は有数の資本主義国でありながら,農地が主要な投機対象であった事がその背景にある。第二次世界大戦後における農地改革において投機の対象となっていた地主制がくずれ,自作農的土地所有制となり食糧自給も達成された。しかし,戦後の農地・土地問題には次のような日本固有の農地問題が存在した。日本本土の田畑は小規模零細錯圃的な土地所有であり,大規模耕作者への農地集積は困難となった。これは明治以降の土地法制と農村の貧困に主たる要因があるが,道路整備,公共事業,都市計画に関して,国が一元的に管理し,地方公共団体への権限の一括移譲がなされなかったことも日本の土地管理の問題点であった。