ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討139トする。壁絵を作製した人は,現在は重度化している。調理室では,利用者が自分の好きな種類や量を選ぶことができる。入所者のうち,要介護度Ⅰ25~40%,Ⅱ25~40%,Ⅲ5~10%ぐらいの分布になっている。通所者のうち,1~2名は要介護Ⅲ(最重度)である。デイケアや訪問介護の利用者も,要介護度ⅠとⅡは同じ程度の割合を占めている。入院か訪問介護かは,介護が必要かどうかによるものであり,どちらかを優先するというわけではない。入所していた身体・精神障害者が出ていく場合や,高齢者で他の施設に移る人もいる。その人自身が選択の余地が与えられることが大事である。フランクフルト高齢者施設2【小括】ドイツにおいては,NPOが児童から青年に至まで,様々な生活困窮問題(虐待、非行,貧困,障害,他民族,犯罪)を抱えながらも,専門職による学習支援や就労支援などを通じて、自立支援が計画的,体系的に展開されている。日本においても,生活困窮者自立支援法が2015年4月から施行され,貧困の連鎖を防ぐための子どもへの学習支援や生活困窮者への自立支援相談,就労支援などが展開されつつあるが,それを国際的に先取りする民間活動であると言える。政府は求人難という理由で必ずしも積極的ではなく補助を抑制する動きも見られるが,専門性をもった民間の市民活動が直接,底辺を底上げする重要な役割を果たしている。高齢者・障害者ケアにおいては,制度的には在宅か施設かという選択肢では