ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

日本の資産構造に関する歴史的研究13農地改革や農地法に関して自作農的土地所有保護の建前からこれを積極的に評価する見方があった。1960年代の農政の転換期以降,競争力がある農業の振興と土地流動化は,推進されてきたが未だ実現されない。農地法は自作農的所有権を明確にし,不在地主による農地取得を困難にし,農外所有者による資産的農地所有を禁じたために,投機目的での農地所有は少なくなった。また農地の宅地,工場用地への転用にも規制を設けた。しかし,逆に零細農地の開発には規制を設けず,都市計画の無計画性が露呈した。高度成長期以降の土地の高騰と土地投機,公益目的による土地収用の困難性は社会インフラとしての公益事業の遅れをもたらした。高度成長期以降,農地から宅地への無秩序的転用が進み,土地価格が高騰した。高度成長期において宅地の比重が急速に増大して,日本の土地資産額は1991年にはGDPの5倍となった時をピークとして,以後GDPの2.5倍まで漸減している。図7日本の土地資産とGDP(1955年~2010年:10億円)3,000,0002,500,0002,000,0001,500,0001,000,000土地GDP500,00001955年1959年1963年1967年1971年1975年1979年1983年1987年1991年1995年1999年2003年2007年総務省統計局『日本統計年鑑』