ブックタイトル高知論叢111号

ページ
155/164

このページは 高知論叢111号 の電子ブックに掲載されている155ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

高知論叢111号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

高知論叢111号

北欧型福祉システムとヨーロッパ・アジア型福祉システムの比較検討153韓国にも支援学校や支援学級,普通学校があり,ある程度聞こえる人は普通学校,まったく聞こえない人は支援学校・学級に通うことになる。【小括】都市部の障害者福祉を見てきたが,様々な芸術文化活動や就労支援を通じて,障害者の自己実現,地域社会への包摂,生活の自立などを専門職チームが体系的,総合的にサポートしている。しかも,そのセンターを地区や市の委託,法人が運営主体となり,地域の大勢のボランティアと連携・協力しながら,当事者の地域生活を支え,その質を高めるネットワークが形成されている。企業の障害者雇用に対する理解がまだ不十分で法定雇用率が達成されていないという日本と共通する事情も見られるが,プログラムだけではない資格取得などを通じた強力なバックアップ態勢によってそれを乗り越えていこうとするとともに,様々な働き方や活動の可能性があることを専門職支援チームの実践が示唆している。高齢者介護保険制度のように日本と同様のシステム化やサービスの標準化が図られる一方で,障害者福祉に見られる専門職チームと地域福祉の連携は,ドイツのNPO活動やスウェーデンの高齢者活動と共通する積極面であると言える。おわりにまとめに代えてスウェーデンの公助中心の福祉システムという伝統的類型化は,青少年保護活動にみられる自治体職員の積極的取り組みにも該当するが,高齢者介護や障害者のデイ活動においては,公民の区別がされなくなっており,互いに対等な競争相手であり,質の向上を求めて競い合うとともに,その選択が利用者サイドに保障されるようになっている。同時に,自治体自身が株式の100%保有という形を取りながら民間委託化を進めている。他方で,高齢者のボランティアセンターや地域活動,障害者の文化活動に見られるように,高齢者や障害者を被支援者の側面だけで見るのではなく,様々なエンパワメントする主体として,その潜在能力を発揮する機会が地域の中に用意されている。