ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

154高知論叢第111号ドイツにおいては,青少年の学習支援や就労支援においては専門職を伴うNPO活動が積極的な役割を果たす一方で,介護保険制度の制度的制約を自治体や法人の独自サービスによって乗り越え,また施設法人内の多様な生活の選択肢を準備する工夫を通じて,高齢者の生活の質を高め,障害者や児童,地域との枠を超えた共生関係を生み出していく努力も払われている。韓国においても,地区や法人が運営主体となり,専門職によるチームアプローチを組織的,体系的に進める一方で,地域の大勢のボランティア集団との連携・協力によって,障害者の地域生活が支えられている。そのような特徴は,日本の高齢者・障害者福祉システムや生活困窮者支援制度の展開の中でも共通して見られる傾向である。図表2国際比較のまとめ障害者権利条約に見られる自己決定,人権尊重スウェーデン・税方式・民間と競争・ボランティア地域の協力個別支援生活総体生活の継続性効率性とサービスの質在宅・地域生活重視独・韓国(日本)・介護保険制度・民間と競争・ボランティア地域の協力その意味では,スウェーデンに代表される北欧型福祉システムと,ドイツや韓国,日本,台湾などのヨーロッパ,アジア型福祉システムは,高齢者介護中心に,給付財源が税方式化か介護保険制度かという異なる制度を明確な違いとしてもちながらも,公・民のサービス提供主体間の質をめぐる競争,職員集団の組織化と包括的・体系的なチームアプローチ,地域福祉との連携強化などにおいては,システム接近が見られるようになっており,同質化が進んで来ていると結論づけられる。