ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

25論説高知県の家計の経済的環境・特徴政府統計を用いたファクト・ファインディング海野晋悟第1節はじめに本稿は,誰でも入手可能な政府統計から高知県の家計が直面する経済的環境・特徴を明らかにすることに主眼がある。動機は,1個別具体的(ミクロ的)な環境・特徴の情報は,各方面から得られるが,巨視的(マクロ的)に高知県民に関して他の都道府県と比べた経済的情報を与えるものとして1,2この機会にデータから高知の家計の経済的環境と特徴を明らかにし,今後結果に関する背景を探索するための備忘録として,また学生の卒論のネタとして位置づける。さらに,興味深い連載記事が高知県の実情を調査するダメ押し(かつ,こちらが真の動機)になった。それは,日本経済新聞から「強いまちデータは語る」と題して2015年2月24日から2月27日までの4日間で,「客観的な様々なデータで全国の市町村を比べ」,その自治体の「隠れた実力」を浮き彫りにしてくれている記事である。4日間の記事で取り上げられた4項目で,各自治体が位置する都道府県の色(水色)をつけた場合,図1が示すようになる2。色づけ高知論叢(社会科学)第111号2015年10月1マクロ的に高知県経済の特徴を知れる数少ない資料として,日本銀行高知支店が公表している「統計でみる高知県のすがた」は有用であろう。2取り上げられた4項目は,「10年間で実力をつけたまち」,「高い競争力を維持するまち」,「外国人を味方につけたまち」,「子育てをしやすいまち」である。高知県を評価するうえで,項目が4つと少ないことや選ばれた項目の妥当性に関して批判は生じるであろう。しか