ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

高知県の家計の経済的環境・特徴29ら確認を行う。最後に,このような所得環境は,高知の物価の特徴の中で,家計にどのような影響を与えるだろうか。高知県の物価環境を,各品目の物価統計から確認を行う。第2節高知県の家計が直面する収入・所得一人当たり県民所得が下位の理由以下では,「なぜ,高知県の1人当たり県民所得が46位なのか?」と「他のデータでは高知県の家計の所得はどうなっているのか?」の2点について検討を加える。前節の「1人当たり県民所得」は,県民所得を県人口で割ることで得られる。ここで,この分数の分子の方の県民所得1兆6185億円は,全国の都道府県で45番目の高さであることは明らかにした。では,分母の県人口がどれくらいの値であれば,答えの1人当たり県民所得46位という結果がでるだろうか。通常,分数とは分母の数が大きくなれば(分子が変化しない場合),計算結果全体は小さくなる。逆もまた然りで,分母が小さくなれば,全体は大きくなる。1人当たり県民所得に話を戻せば,高知県の県民所得(分子)が小さく,全国順位が下位であっても,県人口(分母)が小さければ,計算結果の1人当たり県民所得の全国順位を押し上げる可能性は十分にある。実際,表1から押し上げた例として,鳥取県を見ると,県民所得と県人口共に最下位(47位)のレベルではあるが,1人当たり県民所得は高知より上の44位である。また逆の押し下げた例で沖縄県は,県民所得が35位,人口が30位のレベルで,人口の方に勢いがある分,1人当たり県民所得は最下位(47位)である。しかし高知県は,県民所得45位,人口45位のレベルで,1人当たり県民所得が46位と上がりも下がりもしない。非常に興味深いことに,このような,県民所得の順位を1人当たり県民所得のレベルでもひきつげる都道府県は,高知県と東京都(1位)と三重県(21位)くらいである。