ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

34高知論叢第111号民1人当たりの平均所得の表し方から,もっと一般的な,会社,官公庁,学校,工場,商店などにつめている勤労者の所得を調査した別の調査統計を用いて高知県の所得を観察する。会社,官公庁,学校,工場,商店などに勤める者の家計や消費の実態を調査した公的統計として家計調査と全国消費実態調査が有名である3。両統計からは,その世帯主が勤労によってどれくらいの収入を得ているのかを報告している。世帯主とは,一般的に,世帯においてその家計を金銭的に支持している人である。2009年の家計調査によると「世帯主の収入(月平均)」は,全国平均が419,269円と比して,高知で405,152円,47都道府県中27位である(表3参照)。一方,同年の全国消費実態調査における「世帯主の勤め先の収入(月平均)」は,全国平均が357,671円と比して,高知県で311,679円,47都道府県中37位である。家計調査の世帯主の収入は,元々月次調査であるから,2009年の世帯主の年収の月平均であり,調査結果にはボーナス等の特別給与・賞与等が含まれている。一方,全国消費実態調査の「世帯主の勤め先の収入」は,5年に1度の調査年の9,10,11月の調査月の実績申告に基づいて,月平均が計算される。そこで「世帯主の収入」と「世帯主の勤め先の収入」の差が生じる原因として,特別給与・賞与等が考慮されているか否かがある。また,家計調査の「世帯主の収入」での,全国平均と高知県の差の大きさ(14,117円)と全国消費実態調査の「世帯主の勤め先の収入」での,2つの差の大きさ(45,992円)の違いは明確な要因を指摘できないが,2つの調査の「サンプル数の違いによる,調査家計の偏り」の可能性を指摘できる。全国平均の家計収支の時系列の動きを明らかにすることに主眼がある家計調査のサンプル数は,全国で2人以上の世帯が8,076,単身世帯が673で,これを全国168の調査市町村から調査世帯が抽出される。高知県に関しては高知市で2人以上の世帯として94世帯が調査されている。一方で,全国消費実態調査は,家計調査より3最新の調査は2015年であるが現時点2015年2月時点で入手可能なデータに依存する。