ブックタイトル高知論叢111号

ページ
38/164

このページは 高知論叢111号 の電子ブックに掲載されている38ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

高知論叢111号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

高知論叢111号

36高知論叢第111号281世帯が調査対象になっている。統計学的に,「世帯主の収入」と「世帯主の勤め先の収入」の全国と高知県の差の違いは,2人以上の世帯だけでも家計調査よりサンプル数が7倍以上多い全国消費実態調査が高知県及び全国の「真」に近い世帯主の収入の調査を行えていることを意味する4。ここまでの家計調査の「世帯主の収入」と全国消費実態調査の「世帯主の勤め先の収入」の項目における高知県の調査結果から,47都道府県中40位程度の位置にあり,最下位沖縄県とは6万円以上(2009年)の差があることから,最下位グループにいるとは言い難い。長期のデータを用いた高知県の家計の所得長い時間の中で,高知県の所得環境は,どの様に変化してきたのであろうか。以下では,唯一,長期に1980年から統計を整備している家計調査を用いて長期分析を行う。図3には家計調査による高知県(特に高知市)の「世帯主の収入(暦年平均)」の調査結果を1980年から2012年まで折れ線グラフで示している。高知県の「世帯主の収入」を実線,全国平均の「世帯主の収入」を破線で示している。標本期間(1980~2012年)の2つの系列(高知県と全国平均)の大きな特徴は,90年代中盤に向けて緩やかに上昇し,その後,緩やかに下降しているという点において両系列が同じような動きをしているということである。全国平均が各都道府県の個別の変動を除去した経済の基調的な動きを表していると仮定すれば,高知県の「世帯主の収入」は日本経済の基調的な変化から大きく離れることなく推移していると言える5。しかし,細かく見ると高知県と全国平均には違4より詳しく知りたい方は,統計学の教科書等で「中心極限定理」を調べることをお薦めする。5データが月次または四半期のような高頻度データであれば,景気循環を考慮した高知全国比較が可能であるが,年次データであることから,データから景気循環成分は,既に除去されているとみなせる。