ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

高知県の家計の経済的環境・特徴37(円)600,000500,000400,000300,000200,000100,0000高知県全国値図31980年から2012年の高知県と全国値の家計調査の「世帯主の収入」の単純プロットいが散見される。高知県の「世帯主の収入」のピークは,1999年に485,107円であり(全国468,310円),高知県のピーク時の「世帯主の収入」は,全国平均のそれを上回っていた。一方全国のピークは,それより少し前の,1997年に487,356円である(高知449,867円)。この2年のピークのズレは,非常に興味深い。1997年日本経済では,国内の金融機関の連続破綻及び東アジアの金融危機と,国内外の金融システムが危機にあり,経済停滞期にあった。この1997年を境に世帯主の収入が低下傾向になるのは,経済状況に鑑みれば理にかなっているといえる。その後1999年にピークを迎える高知県は,日本経済の賃金決定メカニズムに瞬時に反応しない,または全国から遅れて対応している可能性がある。それを確認する機会は,今次の2014,2015年の連続した賃金引上げの動きを高知県がどのようにデータ上で見せるかであろう。高知県と全国平均の2000年以降の特徴として,1990年以前は1989年に全国を上回る「世帯主の収入」を記録した(高知384,470円,全国376,242円)だけであるが,1990年以降,1991年,1999年2004年,2010年と回数が増えている。さらに,2000年に入ってからは全国平均との差が縮んでいる。2000年に入ってか