ブックタイトル高知論叢111号

ページ
42/164

このページは 高知論叢111号 の電子ブックに掲載されている42ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

高知論叢111号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

高知論叢111号

40高知論叢第111号163km)より香川県(香川県庁)(130km)の方が近いので,香川県との距離を活かした県際取引から,高知・香川両県の世帯主の収入の相関が強くなると仮説が容易に立てられるが,その仮説の支持よりも徳島県との相関が強い様相ということである7。一方,表4から高知県の「世帯主の収入」と47都道府県で最も相関が弱い県は鳥取県である。鳥取県と高知県の直接的取引の現状を積極的に見出すことが難しいことから,道理な結果である。視点を変えた高知県の家計の所得ここからは,世帯主の収入に関するデータと対になるような家計の収入を表すデータとして世帯主の配偶者の収入に関するデータに注目する。これまで用いてきた家計調査と全国消費実態調査においても対応する調査項目が存在する。家計調査には,「世帯主の配偶者の収入」という項目,全国消費実態調査には,「世帯主の配偶者の勤め先収入」という項目のそれぞれが調査されている。この配偶者の収入に関するデータに注目する理由には,データの意味する配偶者の大多数であろう女性の労働収入に,特に高知の女性配偶者の労働収入を重ね合わせて,その特徴を明らかにすることにある。逆に,世帯主の多くが男性と考えられ,高知の男性世帯主の労働所得は,全国で見ても依然下位層にあることがこれまで明らかになった。表5は,2009年の家計調査の「世帯主の配偶者の収入」と全国消費実態調査の「世帯主の配偶者の勤め先収入」の全国順位表である。2つの調査結果に共通することは,高知県の配偶者の収入は全国平均を大きく上回る,8位に位置するということである。具体的に,家計調査の「世帯主の配偶者の収入」において,高知県の配偶者は,78,724円/1ヵ月(全国平均56,517円/1ヵ月)を稼ぎ,一方全国消費実態調査の「世帯主の配偶者の勤め先収入」において,高知県の配偶者は,75,383円/1ヵ月(全国平均56,405円/1ヵ月)を稼いでいる。7各県の県庁施設からの車での移動距離はGoogle Mapから情報を得ている。県庁施設を中心にした理由は,県庁施設の多くは県の中心市に位置し,県内経済の中心に位置していると考えられるからである。