ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

42高知論叢第111号の調査で全て10位内に入っている8。高知県の配偶者は,全国的にも,よく稼ぐ,という明確な特徴が現れている。この結果を踏まえると,高知県の女性配偶者の労働に対する賃金評価は,全国に比べ安定的に高い可能性があることが言及できる。仮に調査対象の大多数の女性配偶者の雇用形態が正規の社員であれば,今回の結果は道理である。なぜなら,全国的に女性の低賃金非正規労働者が問題視されている現状で,高知県では,働く配偶者女性は,ほとんど正規雇用されているのであれば,非常に労働市場が健全である。また,仮に調査対象の大多数の女性配偶者の雇用形態が全国の現状と同じように非正規雇用ということであれば,高知において非正規雇用というのは名称・呼称だけの問題で,非正規労働者の賃金の評価体系は全国よりも,優れたものを持ち合わせているといえる9。図5は,家計調査による調査項目「世帯主の配偶者の収入」(暦年平均・単位円)の1980年から2012年までの高知県の結果の実線と全国平均の破線を時系列表示している。図から得られる大きな特徴は,長期的な視点における高知県の配偶者の所得は,変動はしながらも右上がりで上昇しているということである。一方で,全国平均は,90年代前半までの持続的な上昇から一転して,97年ごろのピークから現在に至るまで高止まりの現状である。さらに細かく高知県の配偶者の収入と全国平均との比較から明らかになる特徴は,1990年代の前半まで高知県の配偶者の収入は全国平均の周りで推移・変動していたが,1990年代後半以降,全国平均を常に上回り,90年代前半よりも毎年の変動が大きくなっている。1990年代中盤に高知県の配偶者の収入に1つの構造的変化があった可能性が指摘できる。884年4位,89年1位,94年5位,99年7位,04年3位,09年8位。9後述するように,高知県の女性配偶者の労働に対する賃金評価が高い理由は,高知県における全雇用者(就業者)に占める女性雇用者の比率が全国で最上位にあることも起因していると考えられる。