ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

高知県の家計の経済的環境・特徴43(円)120,000100,00080,00060,00040,00020,0000高知県全国値図51980年から2012年の高知県と全国値の家計調査の「世帯主の配偶者の収入」の単純プロットもうひとつの特徴は,サンプル期間を通じて1998年と2006年に10万円/1ヵ月を越えるピークが存在していることである。そして最近(2010年以降)は過去のピーク(10万円)と同じレベルで定着しつつある。1990年代後半から2000年代までの配偶者の収入の変動は,多少の前後はあるものの日本経済の景気の循環を描写している。高知県の配偶者の収入の動向の今後の注目点は,現在の暗黙の10万円強の上限を超える圧力が生じるかという点である。その場合は,高知県経済の好転が欠かせないことは言うまでもない。しかし,ここ15年程の特徴は,先述したように配偶者の収入が景気の影響で,その振幅が大きいことである。主たる家計の支持者である世帯主の収入を補完する意味合いが強く,一般的な配偶者の収入において景気の良い時には配偶者の収入が大きく引き上げられ,景気の悪い時には大きく引き下げられることが繰り返されれば,1家計の収入全体が常に安定することはない。先の記述で,高知県の配偶者の収入が全国的に高いことから,仮に配偶者が全て非正規雇用で働いていたとしても,高知県の非正規労働者の賃金システムは,他都道府県の非正規労働者の賃金システムよりも優れていると言及したが,好・不景気の循環で大きく変動する配偶者の収入は,全国平均以上の収入を保っていたとしても,やはり非正規雇用の経済における性格である,企業の費