ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

50高知論叢第111号員」ではない人を指す。つまり雇用者比率は,収入を得ている人の内で,社長・重役等の長ではなく,単に雇われている人がどれくらい占めるかを指す。高知県は,東京都(71.2%)に次いで雇用者比率72.2%と低い。雇用者比率の定義に従えば,比率が低く計算される理由は,就業者に占める雇用者以外の者の人数が多いということである。つまり,役員,雇人のある業主,雇人のない業主,家族従業者,家庭内職者を合わせた割合が大きいということである。では,東京都と下位を争う高知県は,どの部分が多いのであろうか,東京都との違い,首位の神奈川県との違いはどこにあるのかを検討する。図7上は,雇用者数の各内訳の比率を積上げ棒グラフで示したものである。はじめに断っておくと,雇用者の内訳項目である家庭内職者の実数は公表されていないことと,調査上いずれの項目にも分類不能の就業者の実数も公表されていないことを言及しておく。つまり各内訳の比率を足し上げても100%にはなっていない。高知県は,雇人のない業主,それに次いで家族従業者の存在が目立つ。また図7下から,雇人のある業主と雇人のない業主を合わせた「自営業主」に,家族従業者を加えた要素で,高知県の雇用比率の低さの説明が可能である。高知県の「自営業主及び家族従業者」の比率の高さは,農業主とそれを手伝う家族や商店主とそれを手伝う家族の数が高知県の就業者の中で目立っていることを示唆している。東京都の低さの原因は,統計上の補足率の低さである。東京都の各項目の比率を足し上げても100%に近くならない。家庭内職者や分類不能者に当たる10%以上の空白が存在している。そこで,大中小さまざまな企業がひしめき合って存在する東京都にあって,役員の比率の大きい差は一定の大きさを確保している。一方,最上位の神奈川県は,雇人のある業主と家族従業者は非常に小さな割合に留まる。しかし,役員の割合は高知県を上回り,東京都に迫るものである。高知県の就業者は,どこで就業しているのか,県内か県外か?表8右は,居住する都道府県内に就業する者の割合を降順で示している。高知県民が県外で