ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

52高知論叢第111号よりも県内で就業することに価値を見出し,県内就職を合理的に選択している可能性がある。仮に,県外の優良企業に就職する場合は,県外に移住することを選ぶであろう。交通の利便性が高い東京都周辺や大阪府周辺の府県は,県内就業率は低くなっている。つまり,神奈川県,埼玉県,千葉県は東京都へのアクセスが容易であることから,就業先を東京都,居住先を神奈川・埼玉・千葉県と考えている県民の事情が推察される。京都府,滋賀県,兵庫県,奈良県と大阪府の関係も然りである。表9左は,2010年の国勢調査から,各都道府県の就業者に占める女性の比率を降順で示している。高知県の女性の就業者率は,全国でも最上位の47.17%である。その次に,宮崎県(46.24%),熊本県(46.23%),佐賀県(45.65%)と続く。高知県の就業者は,男女の比率が拮抗する状態にある。また高知県の女性就業者比率首位は,前回の2005年の国勢調査でも,高知県(46.29%),ついで宮崎県(45.62%),熊本県(45.55%),佐賀県(45.16%)と変わらないのである。また,九州勢が上位に集中することは,非常に興味深い。さらに,表9右は,データの制約から2005年の国勢調査から,就業者には現在調査時点で休業中の就業者を含んでいたり,通学のかたわらアルバイト等で仕事をしていた女性就業者を含んでいたりしているので,厳密な意味での就業者に占める主に仕事をしている女性就業者の割合を各等道府県に関して計算し,降順で並べたものである14。高知県の就業している女性の割合は,やはり全国で最上位の45.81%である。一方,男性は,53.15%で女性とは対極の全国で最下位である。女性の就業者率の高さは,前節で検討した配偶者の収入が全国でも上位であることと整合性を保つ。多くの場合配偶者が女性であることを考慮すれば,女性の就労参加が積極的な高知県では,全国一律の労働時給であれば,主に仕事をする女性の就業者と家事の他に仕事をする女性就業者の収入も最上位で,そ14就業している女性とは,主に仕事をしている女性就業者と家事のかたわらでパートタイムの仕事をしていた女性就業者から成る。