ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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高知論叢111号

54高知論叢第111号全国でも下位グループに位置していることは確認した。もし仮に高知県の財・サービスの価格(物価)が全国的に高い場合,低い世帯主だけの収入では,家族構成員を養うためには足りないことが推察される。そこで,主たる家計支持者の世帯主の収入を補うために配偶者が就労し,女性就業者の比率が高まるシナリオである。もうひとつの仮説は,「配偶者の高収入」を,女性労働者の労働市場における賃金評価システムが全国と比較しても高知県が優良であると読み替えれば,その優良賃金評価システムを知っている高知県の女性は,積極的に労働市場に参入することが合理的となる,というものである。この場合,残る疑問は,高知県の女性の賃金評価がなぜ高いのかということである。長期のデータを用いた高知県の労働労働統計には,珍しく「都道府県別」を「月次頻度」で調査・集計しているものがある。それは,毎月勤労統計調査(地方調査)である。ウェブ上で入手可能な毎月勤労統計調査の各都道府県のデータの期間は,1997年8月から入手できる。ここからは,日本の景気の回復・拡大局面における全国値の動きと高知県の値の動きを比較する。それを通して,景気の局面での高知県の労働指標がどのように変化して,高知県が日本の景気循環とシンクロしているのか検討することができる。ここから取り上げる毎月勤労統計調査(地方調査)の項目は,常用雇用者数と所定内給与である。毎月勤労統計調査における常用雇用者とは,事業所に使用されて給与の支払いを受けている雇用者のうち,1期間を定めずに,又は1ヵ月を超える期間を定めて雇われているもの,2日々又は1ヵ月以内の期間を定めている者のうち,調査期間の前2か月にそれぞれ18日以上雇い入れられた者,のいずれかに該当する者のことをいう。この常用雇用者には,俗に言う定義を満たした「パートタイマー」も含まれている。また,データのサンプル期間に依存した注目する景気の拡大局面(景気の谷から景気の山)は,第13循環(1999年1月から2000年11月)と第14局面(2002年1月から2008年2月),第15循環(2012年11月から現在)である。