ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

62高知論叢第111号格の品目1を示し,費目(中分類2)ごとに整理したものである。一部の類については,持続的な割高感が見受けられ,それ以外は,一過性の割高感が生じていたことが示唆される。また,2006,2010,2014年の3ヵ年で共通することは,食品系の物価が全国よりも高いということである。全国で野菜・果物・魚介の産地としての地位を保つ高知県において,食料系の価格が比較的高い理由はどこにあるのだろうか。地価調査による高知県の物価ここまでは,高知県の財・サービスの価格の全国との比較をおこなった。ある種,動産とみなせる財・サービスに対して,土地や建物の価格,つまり不動産価格の特徴を捉えることをここでは行う。使用するデータは,国土交通省の都道府県地価調査による市町村別,用途別の土地の平均価格を使用する。表12は,2010年の全国の住宅地,商業地,工業地の1m2当たりの標準価格(平均価格)を降順で示している。高知県は,全用途で概ね20位前後に位置していた。具体的に,住宅地は40,000円/m2(19位),商業地は,98,600円/m2(18位),工業地は,22,400円/m2(21位)である。地理的位置関係から考えれば,高知県の土地は,比較的高評価を受けているといえる。また,四国域内の香川県,徳島県,愛媛県の住宅地の標準価格は,高知県の40,000円/m2に非常に近いところにあり,他の地方圏の住宅地の標準価格の大きく開いた値幅とは異なる。高知県の住宅地の標準価格が,高知県の県内総生産(実質,2010年)(2,394,190百万円)より,2.2倍以上の大きさの愛媛県(5,282,850百万円)や,1.6倍以上の香川県(3,846,117百万円)のような大きな県内経済活動を行っている隣接県と同程度の地価を記録する背景には何が存在するのであろうか。表13は,表12の2010年のものと同様の2012年の結果である。高知県は,全ての用途(住宅地,商業地,工業地)で地価が下がったために,全国的な順位も下げている。しかし,高知県の経済規模からすれば,まだこの順位では土地が過大に評価されていると考えられる。その理由を思案してみると,高知県は空き地が少ないことが起因していると考えられる。つまり,高知県は,使用予定のない空き地が全国に比べ少なく,土地は既に田畑として使用しているか,既