ブックタイトル高知論叢111号

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高知論叢111号

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概要

高知論叢111号

効果裁量,計画裁量,及び裁量瑕疵に関する基礎的考察(1)77め,活動に支障をきたした,として組合が国家賠償請求訴訟を提起した。第一審は請求を一部認容し,原審もこれを維持したため,上告がなされた。上告棄却。最高裁はまず,1)教育委員会が行う学校使用許可という行政処分が裁量行為か否かを判断し,2)裁量権が行使されたことを前提に,裁量の逸脱濫用についての一般的な審査基準及びこれを当該事例について適用するための具体的な審査基準を提示して,3)それを本件事例において適用することで不許可処分の違法性を導き出した,とみることができる。1)について。最高裁は,行政財産である学校をその設置目的外で使用することは制限されるので(学校施設令1条,3条),公立学校施設の目的外使用には,許可が必要となる,とする。許可は覊束行為ではなく,裁量行為である,という点は,主として地方自治法238条の4第4項「行政財産はその用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」という規定及びこれを学校施設について具体化した学校教育法85条「学校教育上支障のない限り,学校の施設を社会教育その他公共のために,利用させることができる」という規定から導き出されている。ここから,「学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量にゆだねられているもの」となる。2)について。最高裁は,行政庁である教育委員会の裁量権が行使されたことを前提に,裁量に対する司法審査の枠組みを以下の通り示す。「裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となる」と。とりわけ上記「その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し」の部分が判断過程の統制と一般にみなされるところである。そして上記,判断要素の選択及び判断過程の合理性を検討するにあたり,本件におけるチェックの材料・考慮要素として,1申請者が行う集会あるいはその団体の性質,2学校教育上の支障の程度と有無,3不許可の場合の申請者側の不都合が挙げられている。3)について。まず上記1については,判決は本件教育研究集会は「教育現