ブックタイトル高知論叢111号

ページ
94/164

このページは 高知論叢111号 の電子ブックに掲載されている94ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

高知論叢111号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

高知論叢111号

92高知論叢第111号工場地域に隣接しており,ガラス工場建設予定地である区画まで工場地域に指定されると,完全に工場地域に囲まれてしまうことになり,工場排気などによって住環境が悪化する可能性があるという事情があった。裁判は一審,控訴審,上告審すべて原告が勝訴し,この部分に関する計画の有効性は否定された。上告審である連邦行政裁判所によれば,まず,連邦建設法は計画の二つの異なる面に異なる法的要求をしている。二つの異なる面とは「過程としての計画」(Plan als Vorgang)及び「過程の産物としての計画」(Plan als Produkt desVorganges)すなわち「計画の帰結」(das Ergebnis eines Planvorganges)である47。まず,判決は,立法論一般として,法律は計画の帰結についてだけある条件の下に服させる場合もあるが,さらにそれに加えて,「計画の主観的な過程」(subjektiven Vorgang des Planens)に関して,ある仕方で動機づけられるように,あるいはある目的には従わないように要求することもできる,と述べる48。その上で,連邦建設法は過程と帰結の双方に規制を行っている,というのが裁判所の見解である。前者,計画の帰結に対する法規制は連邦建設法1条1項(現行連邦建設法典1条3項)にある計画策定における基本目的で,後者,計画の過程に対する法規制は連邦建設法1条4項2号(現行連邦建設法典1条7項)にある利益の適正な衡量を求める条項である。これら過程及び帰結に関する法律上の規制の根底には,建設法1条1項の計画策定における基本目的及び同法1条4項及び5項(現行連邦建設法典1条5項及び6項)の諸法益の衡量が正しく行われることを命じる原理,衡量原則がある。この原則を裁判所は三つに分け,そして各々が破られる場合に応じて三つの瑕疵を列挙している。第一原則は計画策定者に衡量そのものを命じるもので,これに違反した場合には衡量がなされないという瑕疵いわゆる衡量不行使49(Abwagungsausfall)が生ずる。第二原則は衡量において入れられるべき利害が過不足なく入れられることを命じるもので,これに違反した場合には衡量欠落(Abwagungsdefizit)という瑕疵が生ずる。最後47BVerwGE 45, 309(313).48BVerwGE 45, 309(313).49以下の用語はHoppe前掲注(37)644に従う。