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112

日本のファミリービジネスに関する歴史的研究11になるほど本家が経営への関与する度合いは低下する。新興財閥はその逆であった。明治初期以降最も多くの企業創設に関与した渋沢家は会社には出資するが,直接的な経営への関与は少なかった。第二次大戦後に急成長した企業グループには経営と所有のバランスがとれた企業がある。3.ファミリービジネスの統計(1)1935年のデータからみたファミリービジネス日本経済は第一次大戦期の好況によって急成長した。その時期において大陸への企業進出とイノベーションによる起業ブームはあったが,1909年以降の不況によって長い低迷期を迎えていた。第一次大戦後15年に及ぶ不況,恐慌の期間,国民所得は停滞するが現物資本は漸増する。資本の漸増を支えたのはアジアへの経済進出であった。特に中国市場への投資が資本市場を活性化させた。その中心には常に満鉄の存在があった。日本経済は1929年の世界大恐慌下で実質経済成長がマイナスとなりデフレが進行したが,1930年代前半にデフレ脱却を果たした。その要因の一つは財政政策に支えられた自律的な経済成長というよりも満洲事変による特需によるとこ図表3-1日本の国民所得と現物資本(百万円)『日本長期統計総覧』(日本統計協会)