ブックタイトル112

ページ
18/88

このページは 112 の電子ブックに掲載されている18ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

112

16高知論叢第112号F.Fとしての経営を維持できた企業は極めて稀であった。戦後上場企業のF.Fはこの4社以外全て戦後上場された会社である。日本ではF.Fが長寿であるという通説は必ずしも正鵠を射ていない。図表3?7は全企業の存廃率を示した。1935年創業期別上場企業の中で2015年まで存続した企業の内訳をみると,廃業(R),M&AはN.Fの方がF.Fより多い。1935年のF.Fが2015年において存続した会社は4社を除きN.Fとなっている。1935年財閥系企業の2015年までの推移は,80年を経て存続した企業は約56パーセントであり,非財閥系企業の存続率とほぼ同数である。旧財閥系企業の中では,三井,三菱,大川,渋沢系企業の存続率が高い。図表3?9は1935年上場企業の財務データである。F.F,N.Fをさらに財閥系,非財閥系,国営系に区分しており,財閥系はF.Fに,非財閥系,国営系はN.Fの内数に含まれる。平均値を比較すると,ROE,ROAともにF.FがN.Fより図表3-8財閥系上場企業数の1935年,2015年の推移三井三菱住友大倉浅野大川渋沢古河大原鮎川森野口利光小林穴水藤山根津五島豊田寺田計廃業6224112001100011011024存続13832368321121331211165M&A1300373031102000001126計2013567141335332334222321151935年,2015年『会社四季報』により作成図表3-9 1935年上場企業の財務データ総資産(千円)経常利益率(%)ROA(%)ROE(%)1935年『会社四季報』により作成