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概要

112

国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理27引において,資産を売却するために受け取るであろう価格または負債を移転するために支払うであろう価格2」と定義される。この定義はSFAS第157号と同じであり,実体固有の測定値ではなく市場参加者が決定する価格に基づくとしている点に特徴がある。また,「資産を売却する,負債を移転する」というように,市場参加者が決定する価格は測定日における出口価格であるとしている3。IASBは,公正価値を出口価格とした論拠として,多くのコメント提出者が出口価格とすることが適切であると考えていることをあげ,ある資産または負債の出口価格は,その資産を保有しているまたは負債をおっている市場参加者の観点から,その資産または負債と結びつけられる将来キャッシュ・インフローやアウトフローについての期待(expectations)が具体化していることをあげている4。さらに,IASBは「測定日に,市場参加者間の秩序ある取引において,資産を購入するために支払うであろう価格または負債をおうことで受け取るであろう価格(負債をおうために実体に課される金額を含む)」という定義による入口価格(entry price)と出口価格を比較検討し,入口価格を用いることを主張している人の大半は,IASBが定義した入口価格ではなく実際の取引価格(または原価)を選好していること,また,出口価格と入口価格は,同じ日に同じ形態で同じ市場において同じ資産または負債に関係している時には等しくなることから出口価格を用いると結論づけている5。?公正価値測定の前提IFRS第13号における公正価値測定は,観察可能な市場取引または市場情報を用いる,または評価技法を用いて見積ることによって行われる。測定対象となる資産または負債は,単体(stand-alone)またはグループ単位となり,この区別は会計単位(unit of account)によるとされている。また,測定対象となる資産または負債について,市場参加者が測定日においてその資産または負債の価格決定において資産の状況や所在地,売却または使用に対する制約などを考慮にいれるのであれば,公正価値測定を行う実体もそれらを考慮しなければならないとされている6。