ブックタイトル112

ページ
31/88

このページは 112 の電子ブックに掲載されている31ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

112

国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理29?負債および実体自身の持分商品の公正価値測定負債および実体自身の持分商品(entity’s own equity instruments)の公正価値測定は,測定日に市場参加者へ移転されることを仮定し,移転についての市場の公表価格(quoted price)によって行われる。つまり,測定日において負債および実体自身の持分商品は未決済の状態にあり,決済や消滅は行われないという条件のもと,市場参加者がそれらを譲り受け,債務の履行などを行う必要がある状況において測定を行うというように市場参加者の観点から測定が行われる13。負債および実体自身の持分商品の移転についての市場の公表価格が利用可能でない場合は,他の当事者が同一の項目(item)を保有しているか保有していないかで測定方法が異なる。他の当事者が同一の項目を保有している場合は,評価技法のインプットのヒエラルキー(hierarchy)に示される順位付けと同じく,まず観察可能な価格を用い,観察可能な価格を用いることができない場合は評価技法を用いて測定することとなる。ここにおける観察可能な価格は,他の当事者が保有する同一項目についての活発な市場での公表価格もしくは活発でない市場での公表価格となる。他の当事者が同一項目を保有していない場合は,市場参加者の観点から評価技法を用いて負債および実体自身の持分商品の公正価値を測定することとなる14。?当初認識における公正価値測定当初認識(initial recognition)における取引価格は,入口価格つまり資産を取得するために支払う価格または負債をおうことで受け取る価格であり,実体は当初認識時に出口価格で取引を行うわけではないが,IFRS第13号は当初認識において公正価値測定を用いることを規定している。IFRS第13号では,公正価値と取引価格(入口価格)は等しくなるとしながらも公正価値が取引価格と異なる可能性が示されている。取引を規定するIFRSが当初認識において公正価値測定を要求または認めており,IFRSにおいて入口価格と出口価格が異なることから生じる利得または損失の処理規定が設けられている場合を除き純損益に認識しなければならないとしている15。