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概要

112

30高知論叢第112号?評価技法IFRS第13号では市場価格が観察可能でない場合,評価技法を用いて公正価値を見積ることとなる。この評価技法としてマーケット・アプローチ(Marketapproach),コスト・アプローチ(Cost approach),インカム・アプローチ(Income approach)をあげ,関連性のある観察可能なインプットの使用を最大にし,観察可能でないインプットの使用を最小にするよう,これらのアプローチのうち1つ以上を用いることを求めている16。また,公正価値を測定するための評価技法は首尾一貫して適用することとされているが,新しい市場の出現,新しい情報が利用可能となる,これまで利用していた情報が利用できなくなる,評価技法が向上した,市場の状況が変化したといった事象が生じた場合は,評価技法またはその適用の変更が適切であるとして評価技法または適用の変更を認めている17。1マーケット・アプローチマーケット・アプローチは,同一のまたは比較可能な(すなわち類似する)資産や負債,または資産負債のグループを含む市場取引によって生み出される価格やその他の目的適合的な情報を用いるものである。IFRS第13号では,マーケット・アプローチと整合する評価方法としてマトリックス・プライシングをあげている18。2コスト・アプローチコスト・アプローチは,資産の役務能力を取り替えるために現在必要となる金額(現在再調達原価)を反映するとしている。他の資産または他の資産および負債との組み合わせで使用される有形固定資産の公正価値測定に用いられるとしている19。3インカム・アプローチインカム・アプローチは,将来の金額(将来のキャッシュ・フローまたは収益と費用)を単一の現在の(すなわち割引後の)金額に変換するものであり,